第17章 かき氷大作戦
「貴様には、そのように見えるか」
「そのように見えるような、見えないような?」
「揶揄っているのか」
緩く殺気を纏う瑠璃。
「いいえ。
…謙信様は……透明な氷みたいで、
溶けて消えてゆくのを待ってるみたい。
待っていなくても、
溶けてしまうのも 致し方ない と思っているように思えます…」
謙信が耳に心地好いと感じた瑠璃の声が、少し寂し気に変わった。
(俺を…気遣うのか…何故)
その声に瑠璃の心情を感じた謙信は
また静かに盃に口を付けた。
(…そう…かも、しれぬな……)
静寂が再び2人を包んだ。
「………」
「………」
まんじりともしないけれど、
居心地も悪くない、
ギスギスした空気でもない。
(ただ、隣りに息遣っているだけ)
(体温もないみたいな)