第17章 かき氷大作戦
「さあな」
謙信も月を見上げ、盃を煽った。
「どうぞ」
お銚子を出せば、盃が受けられる。
「お前もこのような処まで、難儀な事だ」
謙信が話を変えた。
「あの方は、突然で突拍子もなくて、
どうしようもない方ですが、
憎めなくて、笑顔にさせされる。
不思議な方です」クスッ
美弥を思い出して、瑠璃の顔が綻ぶ。
「きっと、いつも、何事にも
一生懸命で、精一杯 生きていらっしゃるからでしょうね」
「精一杯…」
謙信は呟くように反芻する。
「そう、全力で、
どうでも良い事も、重大な事も。
笑うのも、怒るのも泣くのも、食べるのも。
そう見えます」
瑠璃は細い月を見たまま。
「…それは…いつ死んでもいいように、か」
謙信は瑠璃を見た。
瑠璃を見る謙信のその眼は、
不理解だと言っている。