第17章 かき氷大作戦
フッと目が覚めて部屋を出た。
廊下を歩いて行くと、縁廊に出た。
また歩いて行くと
(あ……)
「どうした、枕が変わっては眠れぬか」
持ち手つきのお銚子で盃に酒を注ぐ謙信が居た。
「少し…喉が渇いて」
瑠璃が小さな声で答える。
「その喉、潤してゆくか」
謙信がそう言って青い瞳を流して来た。
「…私でよろしいのですか?」
クスッと瑠璃が笑う。
「〜ーー…今、お前しかおらぬであろう」
揚げ足を取られる形になった謙信が、
少し憮然とした声音でそう言った。
後、
「夜は沈吟、月は幻影…お前の方が合っている」
謙信が今は瑠璃を所望しているのだと、言った。
※沈吟…物思いにふけって口ずさむ。
※幻影…まぼろし と影、儚いものの例え。