第17章 かき氷大作戦
身体の大きな漢(おとこ)らしい外見に似合わず、
甘露のような微笑みと文句を1度に送ってくる。
それを受け止めても、瑠璃は靡かないから、些か呆れつつ、静寂冷麗とした態度を貫く。
「甲斐の虎は戦も政(まつりごと)も優れていらっしゃるとか…。
それは、家臣や民を大切にし、
人の心を掴むのがお上手だからなのでしょうね」
甘言に艶やかな美笑をみせる。
しかし、
「ハハハッ…君の心も掴めたかな?」
信玄も動じる事もなく、甘笑を返してくる。
「私の心は、蝶の様ではございませんわ」
瑠璃がサラッと躱と、信玄の眼が細められた。
(子供でも捕まえられる蝶の様に簡単ではないと言う事かね)