第17章 かき氷大作戦
紹介されて瑠璃はゆっくりと姿勢を作り、頭を下げる。
(…病死したと言われている。
『しっかり、元気だ』と言った。
闘わず退却した理由は、病気…?)
考察しながら言葉を紡ぐ。
「お初にお目にかかります……」
(情報収集に長け、勝てる戦にだけ出陣。
治水新田開発、商いの拡大。
政治手腕も優れていたーー…)
「甲斐の虎、武田信玄様。
瑠璃と申します」
瑠璃は指を揃えて、たおやかに流れる様に挨拶をした。
「初めまして瑠璃。
君の美しい顔を見たい。
顔を上げてくれ」
(政宗とは違ったギザさやな…)
そう思いながら、畳に伏せた顔をゆっくりと上げれば、女を掌握したような言葉が速攻で降ってきた。
「瑠璃、君は月の姫か雪の結晶の様だね」
情緒豊かに女を褒め、喜ばせる。