第16章 秘密事
今日も、屍を置いて、
2人で硝煙の匂いが微かに残る草原に背を向ける。
「帰るか」
「…はい。帰りましょう…」
黙って歩きながら、瑠璃は思う。
(少しは自分の事)
考える程、握った拳に力が入った。
「…っ…で様…もう少し…自分を大切にして」
切願したその言葉、
もう、何度言っただろう。
訴えただろう。
瑠璃の言葉に光秀が笑って言葉を返してきた。
「何を言う。お前も似た者ではないか。ククク…」
「どこが?違いますよ。光秀様はヒドイっ、度が過ぎてます」
瑠璃が睨み上げると、
思い掛けず光秀の甘い眼差しにぶつかった。
「可愛いな」
躱されるよう揶揄われ、
瑠璃は唇をちょっと引き結んだ。