第16章 秘密事
「…光秀様…」
「そんな顔をするな。
新しい物を生み出す時、犠牲は付きものだ」
光秀は何でも無い事のように優しく諭し、
瑠璃の頭を撫でた。
(でも…)
瑠璃も頭では解っている。
割り切っているつもりだった。
「それに、ヤツらは罪人だ。
もう とうになかった命が今まであっただけマシだろう」
ニヤリと笑う。
(嘘だ)
瑠璃は知っていた。
感じていた。
罪人を犠牲にして試打すること、
そしてその罪人が命を落とす事、
それは、心の痛むことだが、自業自得だと、
割り切っていた。
哀れみなど大して感じない。
心が痛み、辛いのは
理解し、割り切っているつもりで出来ていないのは、
「光秀様……」
そう、光秀の心情を測ること。
瑠璃は光秀の手を取り両手で包み込んだ。
「…この手は……」
(こんなことをする為の手じゃ…ない…のに……っ)
悔しくてやるせなくなって涙が溢れた。