第15章 些細な出来事と重想
瑠璃を黙って送り、光秀と2人きりになった政宗が切り出した。
「光秀、瑠璃を連れ回すな」
「用事があっての事だ。危ない事も怪しい事も、何もしていない。
……で、お前は何だ、政宗……」
呼ばれた政宗が改めて光秀を見据える。
「……」
光秀も刀のような眼で、政宗を見る。
「ただ一言の自由さえなく、窮屈だと言っていた瑠璃を知っていながら、お前は、アイツに対しそういう扱いをするのか?
それが、瑠璃の為だと?」
光秀は静かに諭す。
(俺の気もしらないで、知ったような事を…)
「お前は、愛している、と言う言葉で瑠璃を縛り、籠の鳥にし、羽を折り、泣かせ、飼い殺すのか?」
ニヤッと笑われて政宗の頭にカッと血が昇る。
「光秀ぇっ!知ったような口利くんじゃねぇ‼︎」
政宗が咆哮し牙を剥くが、光秀には政宗の牙など有って無い。
涼しい顔で笑っている。
「どうしたら良いか解っているくせに、
何故認めない。
守ってやれる自信がないのか?
どんな戦も恐れぬ独眼竜が、たかが女1人も守れぬかも知れぬと、危惧して足踏みしているとは笑わせる…ククク…」
挑発は続く。