第15章 些細な出来事と重想
天主を降りて廊下を歩いていると、
「瑠璃様」
三成に呼び止められた。
「信長様に勝てましたか?」
「いいえ、今日は途中でお開きになりました。なかなか勝てませんね」
苦笑いで眉を下げる瑠璃。
「織田軍の頭脳 三成様、は勝てるのですか?」
三成の目をジッとみて首を傾げる。
(まるで、首を傾げてる猫さんみたいですね)
(三成様の顔がなんだか赤い気がするけど、何で?)
自分のせいだとは全く思わない瑠璃。
「瑠璃様、今度、私と ひと勝負いたしましょう」
「指南していただけるんですか?
三成様の策、私が盗んでしまいますよ?」
真っ直ぐに三成の瞳を射抜いた瑠璃。
(どうしましょう…私は…心を盗まれそうです…)
三成の心も射抜いたようだった。
けれど、瑠璃は知らない。