第15章 些細な出来事と重想
「私は自分にも他人にもそれ程関心がないので、疑ったり勘繰ったり出来るかどうか」
「お前は男女の経験値も低いのだな。
クククク…はっははは」
(あれほど人を言葉で上手く操るくせに、
恋に関してはまるで童女か)
「男女の扱い方を光秀にでも習うんだな」
「えっ?
光秀様は男性も経験有りですか⁉︎」
瑠璃は首を捻りながらも、
「あり得る…」と呟いた。
そんな瑠璃を信長は目を丸くして、
愉快そうに見た。
「今日は面白いモノを見せてもらったので、
お前に勝ちをやろう」
「そのような不明確な勝ちは要りません。
また改めて勝負させて戴きます」
碁を打つ前より少々、気の晴れた柔らかな声音で瑠璃が頭を下げた。
実は、いつも、たいした話はしていないのだった。