第15章 些細な出来事と重想
「あら、ご存知なかったんですか?
嫉妬深いのと、自分の思い通りにしたいのとは同じなのですよ。ふふふ」
「フン、知ったような口を利きおって」
笑う瑠璃に信長も笑う。
「お前はその嫉妬に憤慨しておるのか」
「嫉妬とは聞こえはいいですが、
信用がなくて疑われてるのと何だ変わりがないと思うのです。
ある事ない事想像で疑われれば気分がよろしくはないでしょう?」
政宗の感じていた違和感の正体は
瑠璃の心だったのだ。
(嫉妬と猜疑が同類とするとは…
クク…自分の色恋沙汰にとんと、鈍いのか)
「まぁ……」
珍しく憤慨した様子感情を隠さず露わにしている瑠璃を、マジマジと見て信長は笑う。
(そろそろ俺にも気を許すのか?)
光秀が雌猫だと言っていたのを思い出す。
(頭が良く警戒心が強いだけの、ただの女)
「お前も政宗を嫌と言うほど疑ってやればどうだ?」
「ーー…それで、政宗を追い込める…パチッ…んですか?」
「ん?まぁ……お前に疑われれば、
ある程度は落ち込むのではないか?」