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《イケメン戦国》未来から来た戦国姫

第15章 些細な出来事と重想





パチッ……パチッ………パチッ…
碁を打っているにも拘らず、張り詰めない気怠い空気が天主に充満している。
「瑠璃、やる気を出せ」
「信長様こそ、私が相手だからって、
そんな呑気な手を繰り出すなんて」
パチッ…
「お前が気合いの入らぬ手を出すからであろう」
ジャラジャラと碁石を摺り合わせ、
ダルそうに脇息に凭れて、斜めに瑠璃を見る信長。
「信長様が仕掛けていらっしゃればよろしいのです」
パチンッ
瑠璃が力強く攻めの一手を置いた。

「ククク、機嫌が悪いとは、珍しい事もある。何があった」
「……疑り深いのは光秀様だけ、
嫉妬深いのは信長様だけでよろしいのですっ」
語尾を強めて、またパチンッと碁石を置く。

「誰が嫉妬深いだと?」
信長が緋色の瞳を鋭く向けるが、
瑠璃はどこ吹く風。
動じるわけがない。
それどころか、涼しげに笑う。





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