第3章 政宗と姫の或る日 其の弐
抱きしめられて、じんわりと政宗の温もりが背中に染みる。
お腹の前で組まれている政宗の手に瑠璃が手を重ねた。
「これくらいの傷があっても、どーってことはないくらい、お前は綺麗だ」
「さすが政宗。女性の慰め方、よぉ心得てはるわ」
「茶化すなよ…真面目に言ってるんだぜ」
(解ってるよ…だから、じゃない……。
でないと…私…)
政宗の手に重ねている瑠璃の手にキュッと力が入った。
「他の人が見ても…そう、言う、かな……ハハ…」
涙が込み上げてきて声が震えた。
「他人の目なんて気にするな。
忘れたのか?
俺の言葉を信じろ、否定するな、って言った事。
お前は俺を信じてれば良いんだ。
無条件に、なっ」