第15章 些細な出来事と重想
政宗が湯浴みに向かうと
湯殿から水を流す音がする。
先客は
(瑠璃だな)
いつもなら シメた、とばかりに喜び勇んで着物を脱ぐのだが、今日はさっきの瑠璃の態度で何となく、気後れする。
が、
ここで引き返す事も男として出来ない事だ。
ガラッッ
「え?……」
湯に浸かろうと湯船の縁に手を掛けている瑠璃が、ピタリと止まって、驚いた顔で政宗を見てから
「ま、ま、ま…なんでっ⁉︎ちょっ、え?ヤダッ‼︎」
みるみる顔を赤くすると、
ジャブッッと慌てて湯船に飛び入った。
そして、湯に浸かり背中を向けたまま、
文句を言い始める。
「まっ、政宗っ!何で?
勝手に入って来ないで下さいよぉ!」