第14章 姫達と献上品
中国はずっと昔から、裕福な家の女性は爪を長くする習慣があった。
それは、美しさを見せるだけではなく、
身の回りの世話をしてくれる侍女がいるからこそ出来る、富裕層の特権を表す為でもあった。
「見栄っ張り大会の為に、
伸ばした折れやすい爪を保護していたのが始まりです」
バッサリ辛辣な瑠璃。
「相変わらず、貴様は身も蓋もない言い方をするな」
信長も苦笑いだ。
美弥が5本の指に護指を着けて、
動かしてみながら
「…全部着けると重いね。
…ところで〜…これは、怖い使い道はない、よ、ね?」
瑠璃に尋ねる。
「怖い?……ぁぁ……」
(え?…その微笑みは……)
「ゥフッ…それを着けた手で、
平手打ちしたらどうなるかしら?
引っ掻き傷じゃ済まないでしょうね…クスクス…
それに、目でも引っ掻いたら、
失明してしまうでしょうね〜ゥフフフ…」
指先で口元を上品に隠して笑う瑠璃を見ながら、美弥は再び背筋を凍らせた。