第14章 姫達と献上品
「かの西太后は失敗した侍女の眼玉を、
ソレを着けた指で、抉り出したとか…」
「え"ッ⁉︎」
カシャーンッ
震える美弥の指先から護指が落ちて、甲高い音を立てた。
それを、ゆっくり優雅に、白い指が拾い上げる。
「気を付けて。献上品ですよ?」
そう言いながら、瑠璃が自分の人差し指に護指をはめた。
そして…
その銀鋭い指先を
ツゥゥーッ…… と美弥の頬から顎に滑らせ、顎を掬い、顔を上げさせる。
「壊したら、お仕置き、じゃ済まないわ。
気を付けなさい」
息を吐く様に赤い唇に紡がれた言葉は、
ゾッとするほど、冷たく感じた。
(じょ…女王様、再臨…)
「は…は、はい…女王様……」
美弥は無意識にそう答えていた。
(ん?女王様?……ククククッ)
瑠璃は美弥が何を考え何を想像しているのか、理解した。
「そう、良い子ね。
次はないから、気を付けなさい♪」
と言って美麗に笑った。
『信長様、美弥さんは、イジメ甲斐がありますね』
こっそり耳打ちすれば、
信長がニヤリと笑って答えた。