第3章 政宗と姫の或る日 其の弐
瑠璃は政宗に背を向けて、足を崩して横座りで着物の襟に手を掛けた。
速くも遅くもない早さで着物が落ち、
襦袢の尻を隠すように積み重なる。
障子から透けて明るい白昼の部屋に晒された瑠璃の白い背中。
その姿輪は息を飲んで、一気に欲情するほど艶やかに美しい。
けれど、背中は…。
肩の辺りには火傷痕は茶渋のような色の丸い染み。
殴られて傷になった痕は、赤茶色の筋を幾つも残している。
白い痕になるのは大分かかるだろう。
「触るぞ」
声を掛けて、傷痕に手を伸ばす。
背骨や肩甲骨の上は瘤を残して痕になっている。
「瑠璃…」
政宗は無意識に、吸い寄せられる様に背中の痕に唇を寄せた。
とても神聖なモノに、そっと触れるように、唇をつける。