第14章 姫達と献上品
「…まぁ、力の入れ具合と、叩く場所によってはかなり痛いでしょうね」
瑠璃が真顔で短鞭を振れば、
ヒュッッ
美弥の目の前を、短鞭が空気を切り裂いて通り過ぎた。
「ヒャッ!
ぅわぁ……すっごい痛そう……」
ブルッと身体を震わせてみせる美弥に瑠璃は
「コレで人を叩いたらかなり、良い音がするでしょうね…。
特に、お尻とか太腿とか。
うふふふふ…」
何を想像したのか、そう言ってとても可笑しそうに笑う。
「あら、追い鞭もありますね」
ぅふふ…
艶やかな笑い声を喉の奥で小さく溢し、
臙脂色の皮で編まれた長い鞭を手にする。
サーカスの動物使いが持っていそうな鞭だ。
「瑠璃さん…楽しそう、です、ね…」
(女王様だ…女王様がいるーっ…こ、こわ、い……)
短鞭を手首に掛け、臙脂色の長鞭を手にして笑う瑠璃が、恐ろしくも、エナメルのボンテージを着て、15センチヒールを履いた美しく傲慢で無慈悲な女王様に見えた美弥は、ひとり、身震いをするのだった。