第13章 政宗愛抱ス(R18)
昼過ぎ、
安土に入った一行。
瑠璃は一路 城へ。
町中を抜けると、城へと続く大手道を、
上り坂にも関わらず、馬を駆けさせる。
「開門!開門せよっ!」
声と共に駆けりくる馬に、慌ただしく門が開かれる。
(来たか)
信長は天主から走り来る馬を見て笑っていた。
軽快な蹄の音を響かせて駆り来た馬を、
門番が2度見して声をあげた。
「瑠璃様⁉︎」
その声に振り返った瑠璃が、快活に笑って片手を上げた。
「長旅であったな。少々日焼けしたか」
目通った信長が小姓姿の瑠璃を揶揄う。
「西の海を渡ったせいでしょうか」
瑠璃の旅の話を興味深く聞いた信長だったが
「西の海に猛者か…フッ…」
最後に西の海を鼻先で軽笑した。
「して、光秀はどうした」
「町外れの鍛治屋敷でお待ちです。
私がご案内致します」
信長を鍛治屋敷へ案内すると、入口で信長が立ち止まった。
「ここまでで良い。
疲れたであろう、戻って休め…と言っても、
休めるかどうかは知らんが、な。クククク…
お前がいない間、政宗がうるさくてかなわなんだ」
と信長は意地悪な笑で、シッシッと瑠璃を手で追い払うと、大きな屋敷に入って行った。