第13章 政宗愛抱ス(R18)
(雨が止む)
遠眼鏡の中、近淡海が霧を放ち、
朝日に幻想的な景色を信長に観せていた。
3日前から降り続いていた雨が、
霧雨に変わり、太陽が透けて見える薄い雲が流れてゆく。
「雨、止みますね」
「ようやく到着だな」
光秀に笑いかける瑠璃の笑顔が、
とても嬉しそうで、光秀も、つられるように、
柔らかな声音で応えていた。
「安土に入ったら俺は匠達と鍛治屋敷へ行く。
お前は、信長様に参じ、鍛治屋敷へ案内して来てくれ」
「分かりました」
宿を出発する時、光秀が瑠璃に伝えた事はそれだけだった。