第11章 西国の2人
下から、静かだが、必死に訴えかけてくる瑠璃を、光秀は目を丸くして凝視する。
「信長様は信頼していらっしゃいます。
死んで欲しくはないから、自分の側に置いて、守っていらっしゃるんです。
光秀様は、自由でありつつ、守られてるってこと、全部…解ってるくせにっ…」
瑠璃は切歯扼腕の様子で下をむいた。
今は、信頼されていても、
この世はすぐに一変するのだ。
危うい主従関係
疑わしく脆い信頼
(けれど、その薄っぺらい信頼に縋り、
賭けて、命も賭ける)
そんなこの世の中。
「光秀様は、自分を、粗末にし過ぎています……。
…自由で…結構ですが…無茶はしないで下さい……」
瑠璃が顔を俯けたまま、ボソボソと紡ぐ、光秀を案じる言葉。
(アナタは優しいから…)
心配になる。
(お前は優しいからー…)
つけ込みたくなる。