第11章 西国の2人
「まぁ、冗談はさておき…
自由とは、全ての責任を己が負わねばならない。生きるも死ぬも、全てだ。
大変覚悟のいる事ではないか」
(覚悟……)
「少し自由で、その責任を取ってくれる者がいるのが1番楽な生き方だ」
『守ってやる。
お前は自由に、やりたいようにやれば良い』
瑠璃はそう言って笑う政宗を思い出した。
(私には守ってくれる政宗がいる。
私は甘えているのかな……)
「光秀様は覚悟をされて?」
瑠璃が深い憐恕(れんじょ)の瞳で真上の光秀の様子を窺う。
(俺の為にそんな顔をする必要はない)
光秀は飄々としたいつもの口調で答える。
「ある程度はな。
しかし、俺の生死など、御館様の野望に影響などなー「あります!」」
瑠璃が光秀の言葉を語気を強めて遮った。
光秀が驚いて見れば、憤惋を露わにしている。
「光秀様はっ…自分を蔑ろにし過ぎています」
(瑠璃……)
※憐恕…哀れみ思いやる。不憫に思う。
※憤惋…ふんわん/いきどおり悔しがる。