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《イケメン戦国》未来から来た戦国姫

第10章 猜疑の船旅




出港2日目は備中に停まった。
3日目は鞆の浦まで来て停まった。


「足利様は毛利様を頼って此方まで来ているとお聞きしましたが……。
本当に匿っていらっしゃるのですか?」
光秀が盃を口に運びながら、元就に妖しく笑いかける。
「さあ、どうだろうな」
当たり前だが、元就は腹を割らない。
「面倒ゴトは御免被る、と言ったところですか」
「……そーでもねぇよ」
光秀の言葉に元就が乗るのはワザとだ。
お互い、未だ、腹の探り合い。

「面倒に便乗して、織田に奇襲をかけるのも悪くない話だろ」
楽しい遊びを考えるように、
ワクワクした様子で元就は話す。
「まぁ、物騒な事ですわね」
瑠璃が愛想笑いで大袈裟に言って、光秀の盃を満たす。
「これはこれは、織田様も安泰ではございませんな。クククっ」
光秀は酒を飲みながら、狡猾と笑う。
「この世は明日、どうなるとも分かりません。
故、突然、毛利様の世が来るやも知れませぬな」
剣呑さと怠惰さを醸しながら話を続ける。

(名演技…役者になったらええのに)

瑠璃は内で嗤う。

「いずれ、近いうちにそうしてやるさ」
雄健で自信に満ちた声、
快活な笑貌。
危険な野望を秘めた深緋の瞳で、
元就は空を仰いだ。


(その笑顔は…)

((笑中ノ刀))






※笑中ノ刀…表面は穏やかで内心に悪意を秘めている事。


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