第10章 猜疑の船旅
一転、光秀は苦笑して、
組み敷かれ、上半身をひん剥かれている瑠璃に背を向けた。
光秀は瑠璃と元就の行動を注視するが、瑠璃のあられもない姿や淫らな姿は見たいと思わない。
どころか、出来れば見たくない。
(お前はいつも潔癖で美しくいるが良い)
元就の視線が斜め下へと移動して止まった。
「…家紋…」
瑠璃の胸の左脇にある雪笹を元就が見留、息を吐くほど小さな声を零してから、
瑠璃の顔を見直した。
家紋が軀に刻まれると言うことがどう言う事か、流石に知らない元就ではなかった。
(本当に)
「公家様かよ…」