第10章 猜疑の船旅
「貴様っ、やはり、只者ではないなっ」
「⁉︎…きゃっ」
足を掛けられ、かしいで、甲板に押し倒された。
「元就様っ⁉︎おやめ下さいっっ!」
瑠璃が慌てて制する。
「その顔の下、着物の下に何を隠し持っている?
全て暴いてやろうじゃないか」
元就は男の顔になって、獣か龍かが咆えるような笑みを見せている。
(お…狼が、笑ってる、牙を剥いて…)
睨み合う。
見交わす…その元就の顔が、
(近づいて?)
「!ん"ッッ…」
ちゅっ、ちゅっ……
「ンッ、ん"んっっ…やぁめッ」
パチィィーーン
「っつ、てぇぇー」
咄嗟の平手打ちに不意を突かれ、
元就が顔を背けた。