第10章 猜疑の船旅
「ゔーっ俺はもう、お前らの味方じゃねぇからな!」
「え〜、なんで政宗、怒ってるの⁉︎」
政宗は訳の分からない啖呵を切って、
喧嘩に負けた童子のような顔で不貞腐れたのだった。
(くっそぉっ、瑠璃も帰って来たら、お仕置きだっっ)
はっくっチュンッ!
「寒いか?」
くしゃみをした瑠璃の両肩に元就が手を置いた。
「いえ、寒くは……」
背の高い元就を振り仰いで、見上げる瑠璃が嬌笑した。
「ずっと風に当たってる。
そろそろ船室に入れよ」
元就は自分の肩掛けを瑠璃の肩に掛ける。
「風に当たってると思ってるより体力消耗するんだぜ。船室で休め。
揺り椅子あるぞ」
肩を抱いて歩き出す。
(揺り椅子……あっ、ノッキングチェアかな)