第9章 西国見聞録
「でも、丁度良かった?」
「まぁ、そうだな」
元就がどんな人物なのか、船の上で見させてもらう。
が、何の疑いもなく、元就が自分達の事を信じていると言う保証は何処にもなく、
危険を孕んでいて手放しで喜べない。
(不安はあるが、な…)
「ところで瑠璃。
俺はいつからお前の兄になったのだろうな」
「まぁ、ずっと前から、にぃ様のように慕っておりましたのよ。
光秀様はどう言うおつもりでしたの?」
瑠璃が華やかな笑を見せる。
「そうだな、あえて言うなら、夫婦だな」
「ぅふふふ、嫌や、本当、胡散臭い夫婦だわ!あはははは…」
耐えきれず声を上げて笑う瑠璃を
光秀は眩しそうに眼を細めて見る。