第9章 西国見聞録
「瑠璃!」
焦った声が飛び込んで来た。
その声の方に振り向いて瑠璃が、
幼げな笑顔を見せた。
「あっっ」
(ん?突然 童女みたいになった?)
「探したぞ、何処で何をしていたっ」
「光にぃ様、ごめんなさい……」
((光兄様?))
光秀は内心、溜息をつきながら、
「何もなかったか?心配をかけるな」
瑠璃に合わせた。
不審そうに光秀を見た元就だったが、
「申し訳ない。俺の部下が人違いをして、
船まで連れて来てしまった」
と事情説明をして詫びた。
「何事もありませんでしたよ」
「お前が勝手にウロウロするからだぞ」
「謝ったではございませんか。
あっ、元就様。此処まで連れて来ていただき、ありがとうございました」
(元就?)
光秀は男の名を聞いてギョッとした。