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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第11章 タイムオフ



彼、爆豪は成績こそトップに近いが、正直褒められた性格でもない上に態度も相当に悪い。しかしそれは私にとって気を使わなくてもいい言い訳になり、彼には内緒で勝手に話す練習相手にしていた。

「…てめえもう動いていいのかよ」

『ん?なにが』

「ハァァ?もう保健室送りになったこと忘れてるのかよクソカス」

『あ、腕のこと!なんだ心配してくれたんだ』

「ちげえええよこのおめでた頭が!同じクラスに使えねえやつがゴロゴロいてもこっちが迷惑するんだよ没個性のボケカス野郎が少しは考えろやアァン!?」

『よくそんなに早口で噛まずに言えるよね』

怒り狂っている彼を横に、私はしっかりと包帯が巻かれた己の腕を見下ろした。そういえばもうあまり痛くないな、と気づけば好奇心に勝てず思わず包帯をはずす。

「おい、何やってんだッ」

爆豪の言葉を無視しながらするりと包帯を外せば、私は静かに自分の傷を眺めた。

確かに腕はもう昨日のように血だらけでもなければ血肉むき出しでもない。

しかしそこにはしっかりと水ぶくれのような痛々しい跡が残っており、青白い素肌にだいぶ浮いた濃ゆい赤の傷跡が刻まれていた。

「………」

『あー見事に跡になってるな。でももう痛くないし平気だよ、リカバリガールも…あ、そういえば今日は安静にしてろっていってたような…』

「テメェな……」

また怒鳴られ叱られると思い身構えていれば、爆豪は少し間を開け呆れた声でため息をついた。

彼の顔を見上げれば、またあの鋭いつり上がった目で睨まれる。

妙に静かな爆豪の態度に少し焦ってしまい、それを悟られまいとごまかすように笑いながら頭をかく。

『あはは、…本当大丈夫だよ。体ももうピンピンしてるし』

「ッチ、没個性だからそんなになるんだよ。お前みたいなモブはさっさとヒーロー諦めろや」

『それはできない。ヒーローにはならないと』

「そんな調子じゃヒーローになる前にしぬだろうな」

『…』

「…」
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