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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第8章 ホットヘッド



キーンコーンカーンコーン…

最後のチャイムが慣れば、またざわざわと帰りの支度をし始める生徒たち。

「希里くん」

『あ、みんな…』

「今日は一緒にかえれる?」

『ああ、…ごめんちょっと用事があるんだ。先帰ってて、また明日』

「そうなんだね…じゃあまた、希里さん」

「またねー!」

「ではまた明日」

緑谷くんたちの誘いを断れば、また肩を落とした。

用事といっても本当に用事なのか怪しいところなんだよな…と重い腰を上げればカバンを肩にかける。キョロキョロと見渡し、あの物騒なツンツンヘアーの人影を探した。

ちょうど机から起き上がった彼は、そのまま帰る様子でもぞもぞと鞄を詰めている。

『爆豪くん、ちょっと時間いいかな』

「…アァ?」

話しかけた途端鋭い視線を向けてくる彼は、どうやらこの態度は彼の平常運転らしい。しょうがないので私もそのまま続けた。

『ボタン、直すから』

「いいっていってんだろ、どけモブが」

『あ、ちょっとまって』

そのまま私を肩で押しのけずんずんと教室の外へと向かう彼を追いかけ、なんとか説得しようと私は口を動かした。

『お願い、直させてよ』

「いらねえよボタン一つくらい、うざってえからついてくんな」

『外したの私だし、これじゃ迷惑かけっぱなしだし』

「そう思うなら散れカスが!」

普段、私は人に必要以上迫ったりなにかを強要することはないが、これはまた別問題なのだ。

迷惑をかけた以上謝罪をしなきゃいけないし、彼のボタンを直さなければいけない。約束した手前、こればかりは少し粘ることにした。

『ボタン直すだけ、5分もかからないから』

「てめえボタン一つ付け直すのに5分もかかるんかよボケ」

『…3分でやるから』

「それでもなげえよカスしね」

『…そこまでいうかなあ…』

「てめえの気持ちなんざクソほどどうでもいいんだよ」

『…』

思わず校門で足を止めれば、彼は振り向き憎たらしい顔で鼻で笑った。

…確かに私は自分の善を押し付けている立場だから本当はこんなこと言ったらダメなんだろうけど。




でもさすがに。










こいつはむかつく。



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