第4章 クァークス
今更ながら切島とぴったりくっついていることに気づき、少々気まずさを感じる。
切島は純粋な心配で助けてくれていることを理解しつつもはずかしさを感じていることに、申し訳なくなってしまった。
それから保健室に到着すればすでに緑谷が治癒を受けていて、自分もしばらく横なるためベッドを貸してもらった。一方切島は着いた途端家の用事があるからと、急いで保健室をあとにした。
…
…
10分、15分くらいした後目が覚め、ゆっくりと体をあげれば先ほどの雲が晴れ、頭の中がスッとクリアになったことに気づく。
もう大丈夫だ。
切島のいう通り少し横になるだけでだいぶ楽になり、また明日再度お礼を言わなきゃと思いながらベッドから起き上がった。
リカバリーガールにお礼をし保健室をあとにすれば、教室で荷物をまとめる。今日はそのまま解散らしいので、このまま教室を出ようとすれば後ろから可愛らしい声に引き止められた。
「あ、トバリちゃん!具合は大丈夫?」
『えっとー…麗日さん』
振り向けば丸顔の麗らかな雰囲気の少女、麗日お茶子がいた。
『うん、もう大丈夫』
「それはよかったー!ねえ、一緒に帰ろう!」
『え?私?…ありがとう。よろしく』
「フハッよろしくって。トバリちゃんってなんか抜けてるなあ」
『そうかな…』
それを君がいうのか、とは口に出さずにそのまま仲良く校門へと歩く。
その途中どうやら話をしていた緑谷と飯田にばったり会えば、今度は四人揃って駅まで歩く。
「そういえば希里さんの個性の話聞きたいー」
『ああ、そういえば』
「む、しかしもうすぐ駅だぞ。今日はみんなまっすぐ帰るべきだ」
「…じゃあ希里さんさえよかったら明日お昼ご飯の時にでも、どうかな?」
『え、一緒に食べてもいいの?』
「もちろん!よしじゃあ明日はみんなでご飯食べよう!きまりだあ」
「そうだな、ではこの話は明日に持ち越すとしよう」
「そうだね」
『ありがとう…』
今まで友達と言える人がほとんどいなかった私にとってはなんだかむず痒く、けれど嬉しい一時。
明日お昼ご飯に同席する約束までしてしまい、予想外の出来事にで思わず舞い上がりその日は軽い足取りで家へと帰った。