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あなただけを…

第57章 ➖静かなお茶会➖


『……!?』

椅子の背ごと後ろから抱きしめられた

「サラ…。
 あなたは、何故泣いているんですか?
 僕はまた何かしてしまいました?」

その言葉にさらに涙が溢れる
抱きしめてくれた腕を両手で包み込む

『アズール……』

「ん?…どうしました?」

あなたの優しい声が耳元で聞こえた

『アズール…。私ね…ずっと会いたかったの。
 あなたに…ずっと会いたかったんだよ…』

「僕も…ずっとあなたに会いたかった。
 会いたくて…苦しくて…辛くて…
 同じだったんですよね…知らなかった…」

『そうだね。同じだったんだね。
 ねぇ、アズール…ちょっとだけ移動して
 並んで話そっか?久々にね…。
 この体勢じゃ、話しづらいでしょう?』

「ふふ。そうですね。近くですと……
 ベッドくらいしかありませんけど?」

『じゃあ、ベッドでね…』

移動を提案したのは
椅子の背ごと抱き締めてくれている
彼の手を気遣ってのことだった…
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