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あなただけを…

第57章 ➖静かなお茶会➖



「書きやすいでしょ?
 筆記用具にはこだわりがあるので…」

『おかえりアズール…そうね。
 凄く書きやすくて、可愛くて好きよ…』

私がペンを戻し
紙とインクを仕舞っている間に
机の上にティーカップを置かれる

「どうぞ…。
 ジェイド程ではありませんが…
 不味くはないはずです」

『ありがとう…いただきます…』

色味は淡く透き通ったオレンジ
香りもよく少し華やかさも感じる
心地よい渋みのある物で…
万人受けする味だった

ベッド近くの椅子に腰を掛けている君が
どうですか?
…そんな表情で見つめてくる

『うん。美味しいよ』

「そうですか。ならよかったです」

沈黙が続く
カップをソーサに置く音、喉を鳴らす音…
それだけが響く中

沈黙を破った…

『ねぇ、アズール…
 今までのことさぁ…全部覚えてるの?」

「えぇ…覚えていますよ」

その言葉を聞き
何故か涙が流れた…

『そっか…』

(逃げないって決めたのにな…
 今この場から逃げ出したくなる。
 魔法が解けてしまった今だから特に…
 君との歳の差をイヤでも感じる……)

そんな事を考え俯いていた…
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