第7章 目覚めよ、汝
そのあとすぐに。
あたしたちは同時に果て、蓮はあたしのなかでその塊を解放した。
「………真白」
「………っ」
だめだ顔、見れない。
さっきたぶんあたし、変なこと考えてた。
蓮に、読まれた。
あたし何……思った?
考えた?
「真白」
ビクン、て。
反応するあたしを1度視界におさめると。
蓮は、制服をただ無言で、整えてくれた。
きれいにネクタイまで結んでくれた、あと。
じ、っと。
蓮の視線は両方の腕。
「ごめん、痛くない?」
「あ、うん」
「そっか」
「………」
さっきギリギリ押さえつけたの、気にしてる?
「れ……」
「真白」
蓮へと呼び掛けたあたしの声を遮るように。
蓮は無表情であたしへと視線を投げ掛けた。
「なに………」
「勘違い、だよ」
「?」
顔を背けたままで、ポツリと、蓮が呟く。
「真白のそれは、勘違い。真白は、薫が好きでしょう?」
「…………っ」
勘違い、の意味は容易に理解出来た。
蓮が何を言ってるのかも。
理解した途端に、沸騰する血液。
バレた。
気持ちが。
あたしがさっき、何を思ったのか。
全部蓮に……。
だけど。
勘違い?
何が、勘違い?
「………そうだよ。薫が好きだよ」
今でも薫が大好きだ。
薫がいない現実を受け入れることすら難しいくらいに。
薫がいないことを否定してとじ込もっていたいくらいに。
でも。
だけど。
仕方ないじゃない。
自分でも良くわかってないんだもん。
気持ちの整理、追い付かないんだもん。
それを勘違い、で全部終わらせちゃうんだ。
迷惑だ、って。
言われた方が全然いい。
「………真白」
「嫌いだよ、あんたなんて」
「うん」
「………だいっきらい」
「………うん。知ってる」
なんで。
なんでそんな泣きそうな顔で、笑うの。
泣きたいの、こっちだよ。