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地縛霊は孕ませたい!?

第7章 目覚めよ、汝




「どーしたのいきなり進学なんて」
「うん、ちょっとね」
「卒業したら結婚でしょ?進学なんて必要ないじゃん」

「………」


「真白ちゃん?」



雪の何気ない一言ですら、思考が止まる。
動きが、止まる。



「………うん、なんとなく」



『薫、いないんだ』
たったそれだけの事が言えない。
言葉が、出てこない。
受け入れたはずなのに。
薫を知ってる人に伝えるのと、知らない人に伝えるのとでは全然、違う。
まだふたりには、話せない。




「ふたりはもーすぐ受験だね。頑張って」





誤魔化すように笑うので、今は精一杯かもしれない。






  ━━━━━━---……。






「真白」


誰もいない放課後の教室。
珍しく遠慮がちに、蓮は姿を現した。


「契約のことなら気にしないで。あんたがいなくても大丈夫。消えたら消えたで、それが運命だし」
「でも目標見つけたんでしょ」
「おかげさまで」
「俺ずっといるよ?真白消えたりなんてしないよ」
「………っ」


ノートに書き込む鉛筆に、力がはいる。
ボキッて。
嫌な音を立てて芯が折れた。


「真白?」
「そーゆーのもう、いいから」
「いい?」
「どーせ消えちゃうくせに。いなくなるくせに。無責任な言葉なんてほんといらないから!!」

「………」


ああほんと。
みっともない。
これじゃただの八つ当たりだ。


「消えたりしないよ?」
「ぇ」
「言ったじゃん。真白が孕むまで消えないって」
「………っ」
「真白?」
「だって会ったん、でしょ?」
「………会ってないよ」
「ぇ」
「会ってない」


会って、ない?


「なんで?会いたい人、って巫さんなんでしょ?大事な人なんでしょ?」


「…………うん」




━━━ズキン。



ああほんと、嫌になる。
自分で言って傷付いてちゃ、世話ないわ。


「なんで?」
「なんでって?」
「未練、って、言ってたじゃん。巫さんに会いたくて留まったんじゃないの?会えば、未練、なくなるんじゃ」
「そう、単純じゃないんだよね」





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