• テキストサイズ

地縛霊は孕ませたい!?

第7章 目覚めよ、汝




あの日薫は、言った。


『交換する電池がいくらあっても、おもちゃがなきゃまた動き出すことはないんだよ』



それだけあたしに囁いて。
満足そうに笑って。
消えてった。












「…………あたし、大学に行く」





突然の進学宣言に。
朝食中の両親の動きが突然、静止した。



「真白!?」
「ごめんなさい、だからたぶん、浪人すると思う」
「どーしたの急に。せっかく内定、とれたのに」
「うん。ごめんなさい」

ふたりに向かい、深々と頭を下げて。
再度、向き直る。


「パパのコネと、薫のおかげだって良くわかってる。薫と結婚すればどーせ腰掛けみたいなもんだって」
「……真白」
「大丈夫、良く考えればわかることだもん。でも薫はもう、いないし」
「真白それ……」
「平気、じゃないけど、でも大丈夫。ちゃんとこの先胸張っていられるような、有意義な生き方したいの」

「だから」、そう、付け加えて。


「医学部に行きたい」

簡単じゃないことくらいわかってる。
挫折するかもしれないことも、わかってる。
両親に迷惑かけることも、わかってる。


「浪人、させて下さい」


1年じゃ済まないかもしれない。
もっともっとかかると思う。
考えてるより数倍も大変だってことも、わかる。
だけどそれでも。



「わかった」
「そんな、簡単に……っ」
「真白が決めたなら、それを応援するのが親の役目だ。満足するまでやればいい」
「パパ……」
「大丈夫、挫折しても辛くなっても、パパもママも真白には付いてるから。後悔しないようにやりなさい」



「………ありがとう」




後悔は、したくない。
いつまでも続くって思ってた。
『死』は、遠いところにあるって。
だけど違う。
誰よりも遠いところにあって、誰よりも身近にある。
それが『死』。
後悔は、したくない。


/ 115ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp