第6章 カレとカノジョと、僕の事情
「……ねぇ真白。いい訳を、あげる」
「………?」
「身体と心は、違うんだよ?」
「……な、に」
「こんな風にずっと気持ちいいの、されちゃえば身体は勝手に登り詰めちゃうんだ」
ピン、て。
指先で弾かれただけで電流が走ったような、閃光。
「気持ちいいでしょ?」
「………っ」
「ねぇ、生きてるんだよ真白。感情はなくならないしなくせない。どんなに強がったって頑張ったって、ちゃんと真白の身体は僕を欲しがってるよ?」
言葉を繋ぐ間も、れいの指先は2つの胸を、弄ぶ。
ただ触られただけで熱くなる体が嫌い。
吐く吐息でさえも熱い。
目眩がするほどの熱さは、勝手に涙腺さえも緩めていく。
「楽になろうよ、真白」
知らない。
知らない知らない。
何にも聞こえない。
聞きたくない。
「……早く終わって……っ、て、ば……っ」
「薫はもういない、真白」
ドクン
「いないんだよ」
うるさい。
うるさいうるさいっ。
「ねぇ、真白の目の前にいるのは、誰?」
「ぇ」
「誰?」
だ、れ……って。
「殺さないで、真白。自分を殺さないで。ちゃんと生きてるんだよ。感情だってあるし、嘘ついて笑わなくていいよ。強がんなくていいよ。俺がいるから。真白が笑えるまで、ずっといるから。ね?真白」
「………れ、い?」
なんで、あんたが泣きそうになってんの。
「俺で、いいじゃん」
「………ぇ」
「消えないよ?俺は」
「………」
なに、言ってんの。
幽霊のくせに。
消えちゃうくせに。
「真白」
………いつかは、いなくなるくせに。
「俺を見て、真白」