• テキストサイズ

地縛霊は孕ませたい!?

第6章 カレとカノジョと、僕の事情






「真白ちゃん、お母さん退院のごあいさつしてくるから。先に下に降りててくれる?」
「はーい」


意識が戻ってから24時間。
すぐに退院の許可は降りて。
今日と明日熱が出なければ登校の許可ももらった。



何もかもが、いつもどーり。
いないのは薫だけ。
薫の存在だけが、日常から消えた。







「……憑きもの、とれたのね」





ボーッとしながら玄関ロビーへと向けた足。
は。
後ろから追いかけるようにかけられた声で停止した。



「巫、さん?」

「……」


なんで、病院?
ってか、つきもの?


「?」
「気付いてないの?ずっと憑かれてたのに」


つかれて?


「………」



憑き、もの?


「見えてたの!?」
「……見えないわ」
「ぇ」
「そんな気がしただけ」
「………まだいるよ?」
「?いないでしょ?」


ああ、今、れい見えないし。


「………巫さんは、どーして病院?どっか悪いの?」
「お見舞い」
「ぇ」
「お見舞いに、通ってるの」


通う?


「長期入院の知り合いがね、いるのよ」


「そう、なんだ」
「ええ」



それじゃ。
そう言って彼女はひとり、病院を出ていった。


………けど。


なんだろう。
胸が痛い。
ざわざわする。


モヤモヤ、する?



なんだろう。
すごく懐かしい、感覚。



「真白」
「お母さん」


巫さんの背中を見送っていれば、またまた後ろから今度は明るい声が聞こえて。
声の主は優しく、微笑んだ。


「………ねぇお母さん」
「なぁに?」
「巫、って知り合い、いた?」
「カンナギ?珍しい名前ね。さぁ?親戚にはいないと思うけど」
「……そう、だよね」
「どーしたの?」
「ううん」
「そう?」
「うん」



じゃぁこのモヤモヤは、なに?


/ 115ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp