第5章 頑張って我慢して?
「………」
表情が、口調が。
まるで別人。
空気が割れる。
空気が重くて、動けない。
「………んん……っ」
荒々しく重なる唇。
噛みつかれたかと思うくらい、はじめから舌を絡ませて、吸い上げる。
逃げたくても真後ろにある壁が邪魔するし、顔はれいの両手で固定されてる。
息が苦しくて泣きそうになっても、決して開放なんてしてくれなくて。
苦しさと比例するように涙が頬を伝う。
「━━━っ、は」
やっと唇が開放されても。
れいの唇はそのまま下がっていき。
首筋、胸、お腹、と、ゆっくりと口付けを降らせていく。
「……濡れてる。気持ちいい?」
指先が下着の上から割れ目をなぞれば。
それは張り付くように粘着な音を奏でる。
「声出したら聞こえるよ、真白」
「………っ」
下着がずらされて。
嫌な予感が背筋を伝う。
ふるふると首を横に振っても、クスクスと笑うだけで。
面白そうにれいは囁いた。
「頑張って我慢して」
「━━━━━━━ふ、……っ、んんっ!!」
膝をついてしゃがみこむと、れいは躊躇せずに十分に濡れたその場所へと、舌を伸ばす。
つつくように舌を這わせ、啄むように食む。
口の中へと含み、執拗に転がし弄ぶ。
「や……っめ、っ」
窓、開いてるのに。
電気だってずっと、明るいまま。
「………消してもいいけど、勉強してるはずの真白の部屋が暗ければ薫変に思わない?」
「━━━やっ!?しゃべらな……っ」
「ああ、これ?」
先ほどまで口の中でさんざん弄ばれた突起が空気に触れただけで、温度差にびくびく震えるのに。
れいの冷たい吐息は凶器のように背筋を、凍らせる。
「━━━━━━んんんーっっ」
「ああすごい、溢れた。イった?今」
「………って、ないっ」
「ならイかせるまで、頑張らないと」
「や!?……、嘘……っ」
右足を、自分の左肩へと乗せて。
指先を中へと、沈める。
ついでに舌での愛撫も、再開された。
「━━━━っっ、ぅ、んん」