第4章 ………聞いても、いい?
いつだったか、れいにやられたみたいに。
唇を自分の指先で開き、空いた隙間に自分の舌を押し込む。
そのまま舌先を絡めて。
擦り合わせ、吸い上げて。
ついでに口の中にたまった唾液をれいの、喉元へと送る。
そのままゴクン、て。
飲み込んだのを確認してから唇を離した。
「…………」
だけどそれでもまだ、成長しない。
少年のまんま。
目も、閉じたまま。
「………っ、れい……っ、起きてよ……っ、バカバカっ」
これ以上、どーすればいいかなんて。
「………っ」
頭によぎる、ひとつの考え。
でも無理。
絶対無理。
薫にだって、したことないもん。
絶対無理だ。
だけど。
「……………」
おそるおそる、れいのズボンに手を、伸ばす。
伸ばすけど。
これ以上どーすればいいか、どう手を動かせばいいか。
わかんない。
手が動かない。
どーしよう。
どーしよう。
「………っ」
頭の処理能力がキャパ越えして、勝手に涙が溢れてくる。
助けなきゃ。
助けなきゃいけないの、わかってるのに。
無理。
出来ない。
「………ありがとう、もう、いいよ真白」
れいの下半身に両手を置いたまま固まるあたしの掌に、冷たい掌が、触れて。
「ぇ」
反射的に顔を上げた視界には、れいの困ったような複雑な表情が、うつりこんだ。
「血は止まったから」
「ぇ」
「ありがとう、おねーさん」
ちゅ、て。
唇に触れるだけのキスが落とされて。
目の前の少年は高校生くらいの男の子に、成長した。
「こっちの方が背徳感とかなくて、いいでしょ」
「は、はいと、く!?」
「うん。さすがに12歳じゃ真白抱けないもん」
ペタンと床に座り込むあたしの涙を、床に右手を付きながら左手の指で拭って。
ついでにペロン、って、涙を舐めとった。
「!??」
思わず勢い良く後退りするあたしを、にやにやしながら観察する、れい。
「ほんとかわいーよね、真白」