第4章 ………聞いても、いい?
『真白は今、俺と繋がってるから、今まで見えてなかったものが見えるようになったんだよ。だけど絶対目、合わせちゃ駄目だからね。見える人間にはすがってくるから』
………とか、言われてもさぁ。
実際見えない方がいいっ、て。
なんでこんなにうじゃうじゃいるわけ!?
「おはよ真白」
「真白ちゃん大丈夫?顔色悪いよ?」
「はは、大丈夫じゃないかも……」
道端でも学校でも。
よくよく見ればたぶん人じゃない存在がたくさんいる。
昨日薫の車で見たあの女の人も、たぶん人じゃなかったんだ。
いきなり車の前に現れて、消えた。
「………」
考えれば考える程、寒気が止まらない。
「保健室行ってくる」
「またぁ?」
「真白ちゃん、ひとりで大丈夫?」
「平気平気。せんせーには適当にいい訳しといて」
はぁ。
一眠り、してから戻ろう。
「せんせー」
ガラリと保健室のドアを開ければ。
いつもいつもほんと、先生いないよねここ。
いいの?これ。
まぁ、こっちとしては都合いんだけど。
「ベッドかりまーす」
あれ。
誰か、いる。
ベッドに座って、足をプラプラさせながら窓を眺める女の子。
か、こちらを振り向きにこりと、笑った。
思わずつられ笑い。
「?」
『真白危ないっ』
「!?」
声が聞こえたと同時に、ものすごい音が響いて窓ガラスが、割れた。
「………ぇ」
身構える暇も、なく。
視界にガラスの破片がスローモーションでうつりこんだ、瞬間。
唇にふわりと感じた柔らかい感触。
そのまま力強く誰かの腕に、引き寄せられた。