第4章 ………聞いても、いい?
「薫といるときと俺といるとき、態度違すぎじゃない?真白」
「………」
出た。
清々しい朝の始まりが一気に暗くなる。
「真白、真白ちゃーん?」
ぷかぷかぷかぷかと、人の周りうろうろしないでよね。
鬱陶しいったら。
「うるさいな、話かけないで」
「冷たい、真白ちゃん」
う、う、う。
と、泣き真似までする始末だし。
なーんか。
調子狂うのよね。
地縛霊、とか聞くともっとなんかこう、ホラー的な?
この前教室で見た幽霊、みたいな。
「……」
やば。
考えただけで寒けしてきた。
「真白はさー、夢見すぎなんだよね」
「?」
腕を頭の後ろで組みながら、ぷかぷかと浮遊する幽霊目の前に見る夢って、何?
「だからさ、幽霊なんて人脅かすのが仕事なんだよ?より多く怖がらせて、驚かせて。人の記憶に残るよう頑張ってるの。じゃないと消えちゃうんだから」
「………消えちゃう?」
「人の噂って、俺たちには重要なの。噂が途絶えれば俺たちは存在していられない。逆に、噂どーりにしか存在すら出来ない。人の恐怖がそのまま霊として存在してるんだよ」
「………」
恐怖が、そのまま……。
「でもね真白、一番怖いのは」
「?」
「そんな噂にも左右されないくらいの、強いやつ」
「強い?」
「人の姿で、優しい嘘で近付いてくる霊だよ」
「?あんたみたいに?」
「やだなぁ、真白ってほんと面白い」
ケタケタお腹抱えちゃうようなおかしいこと、言った?
まんまあんたしかいないんだけど。
「真白」
「………何、急に真面目な顔なんて」
………しちゃって。
「気をつけてね、真白」
「う、うん……」
「うん」
今度はにっこりと、いつもの笑顔。
なんなんだろう。
ほんと、表情コロコロ変わるなぁ。