第4章 ………聞いても、いい?
カッコいい。
ほんと、カッコいい。
どっかの誰かみたいに全然がっつかないし。
大人、って。
きっと薫みたいな人ゆーんだよ、絶対。
『わーるかったな』
「………」
あたしの思考だけ駄々漏れなんて、絶対不公平だ。
「真白?なんか怒ってる?」
「………!!まさか、全然っ!?」
危ない危ない。
せっかくの薫との時間、あんなのに邪魔されたくない。
「……おいで真白」
「なんか久々だね、一緒に寝るの」
「子供ん頃は良くウチ来てたからなぁ、真白」
「中学生になったらママが夜行っちゃ駄目ってゆーんだもん」
薫の腕の中でぬくぬくするの、好きなのに。
「まぁ、親なら当然だろ」
「うう……」
「唸らない。意味わからないほどもう子供じゃないだろ真白は」
「わかる、けど」
薫ともっともっとくっついてたいんだもん。
くるって薫に背中向けると。
腕枕をしてくれる薫が頭を撫でてくれる。
そのまま腕を頭から引き剥がして、薫の指先にキスをする。
「真白?」
「薫の手、好きなんだもん」
ちゅう、って。
人差し指、中指、と吸い付けば。
「こら」
ぱ、って、掌が手の中から消えた。
「あんまかわいいことしないで真白。ずっと抱いてないから、我慢できなくなる」
「……いいもん」
わざと、だもん。
「だーめ。なんもしないってゆった。」
「ちぇー」
変なとこ、真面目なんだから。
「ほら、寝よう?」
「はーい」
くるりと再度向きを変えて、薫の胸に額をくっつける。
「おやすみ真白」
ちゅ、て。
頭の上に降ってきたキスに心地よさを感じながら。
「おやすみ薫」
ゆっくりと、目を閉じた。