第3章 気持ちいいって言ったら許してあげる
え……。
目を開ければ。
以外と至近距離にあった幽霊くんの顔。
近くにあったペットボトルを口に含むと。
そのまま唇が塞がれて。
冷たい何かが、口の中に流れてきた。
「水だから。飲んで真白」
「……」
真剣な眼差しに、思わずコクン、て。
喉を鳴らす。
「……お、い、しい…」
「良かった」
「………」
時々なんでこの人、こんな人懐っこい笑顔するんだろう。
さっきまであんなに、意地悪だったくせに。
「………また、成長してる」
今度は明らかにあたしよりも歳上。
先ほどの高校生なら、年下、か、悪くても同級生、くらいだったのに。
「そう?」
あんま変わってないけどなー、とか、自分を観察してる彼の声は、明らかに低くなってるし。
さっきよりも腕も、掌だってゴツゴツと逞しいものになってる。
「ねぇ」
「んー?」
「繋がり持つだけなら、こんなことしなくてもさっさとやることだけやればいーじゃん」
「………」
「なに……」
「わかってないなぁ、真白ちゃん」
「ぇ」
「なんの感情もないからこそ、こんなこと出来るんでしょ」
「え……」
「拘束とかおもちゃとか、ただの興味だし、俺」
え……。
ドクン、て。
嫌な音。
心臓が、軋む。
「まぁ……」
また、温度のなくなった瞳を向けながら。
彼の右手は下半身へと、伸びていく。
「あんなんでここまで濡らしちゃってる真白も、どーかと思うけどー?」
下着の中、指先が入り込むと。
指の動きにあわせてくちゅくちゅ音がする。
「………っ」
「ね?」
しばらくわざとらしく音を立てていた指先が、その場所を離れ。
今度はあたしの目の前で、その指をパクン、と口に入れた。
「━━━━っ」
なんなの。
なんなの、ほんと。
「あんた、ほんとに中学生?」
「中学生、だよ?」
指先に舌を這わせながら上目遣いする中学生、って。
説得力ゼロなんですけど。