第2章 世間はそれを、脅迫、と呼びます。
減るもんじゃないって。
減るもんじゃないって!!
「ま、とゆーことで」
「?」
ポン、て。
両肩へと両手を置いて、またにっこり。
「助けて欲しかったら、いつでも呼んで?」
「助け……?呼ぶ?」
「そのうちわかるよ」
「………どこ行くの?」
「久しぶりの『実体』だから。ちょっと遊んでくる」
「は?じ……っ?」
あ。
浮いてない。
歩いてる!!
いつもはぷかぷか浮いてるだけの足を動かして。
彼はドアまでくると、こちらを振り向いた。
「真白はどーせ、俺がいないと生きていけないんだからさ」
バチン、て。
チャラくウィンクを残して。
彼はドアの向こうに消えてった。
「…………」
なに。
あれ。
全然意味がわかんないんだけど。
「教室戻ろ」
ギシ、とベッドを軋ませて両足を床へとおろしたところで。
いきなり幽霊くんの言葉が再生された。
『教室にしかいられない』
「………」
教室に、またあれ、いるの?
「…………帰ろ、っかなぁ」
鞄は、なくてもいいや。
とりあえず今日は。