第2章 世間はそれを、脅迫、と呼びます。
「まぁ、それがいいよ」
「………」
ぷかぷかと宙に寝転がりながら。
いい子いい子、と頭を撫でる幽霊くん。
さっきからずっと思ってたんだけど。
「………あたしの心、読めるの?」
「………」
じ、と。
そのでっかい瞳をあたしへと固定したまま、ピタリと動かない。
「な、何……」
けっこう整ったかわいい顔、してるんだよね。
睫毛なんてめっちゃくちゃ長いし。
これ絶対、モテただろーな。
じ、と見つめられること数秒。
思わずドキドキ、しちゃったじゃない……っ
「かわいー、真白」
にこっ、とあどけなく笑顔を向けると。
彼はそのままおでこへとキスを、した。
「━━━━━━はぁっ!?」
なんなの。
なんなのっ!?
「だって真白があんまり見つめるからぁ」
「あんたがそうしてきたんじゃないっっ」
「もーっとすごいこと、したじゃん僕たち」
「━━━━〰️〰️っ」
「照れちゃって。真白かーわい」
「っ」
こいつ、中学生のくせにっ。
なんであたしがこんな子供のペースにのまれなきゃいけないのよっ!!
「………真白」
「ぇ」
あれ。
また声、雰囲気変わった?
「子供子供、って。さっきからうるさいよ?」
「………ぇ」
そのまままた、唇が重なって。
「…………嘘」
目の前の少年は、いつかのように身長がぐんと伸びて。
喉仏まで、出来ちゃって。
どっからどーみても……。
「こんなもんじゃこれが限界か。ま、いいや。高校生には、見えるよね」
あたしとたいして歳も変わらなく、見える。
「……それ」
「ああ、うん。真白から生気分けてもらうって言ったでしょ?」
「分ける、って、あたし寿命短くなるのっ!?」
「それは関係ないって。大丈夫、減るもんじゃないから」