第2章 世間はそれを、脅迫、と呼びます。
なんなの。
あれ、何!?
何!?
あたしおかしくなっちゃった?
あんな人、ウチのクラスにいた?
クラスに頭ナイフ刺さった同級生いたら普通わかるよね?
ってかその前に、保健室っ!?
じゃない、病院!!
いや、病院の前にここはやっぱ、保健室?
あーもうっ。
わっかんないよーっ。
「………保健室でいーと思うよー?」
「ぇ」
「おはよう真白。そろそろ目、開けてよ」
「…………」
言われたとーりに目を開けば。
「!!!」
近いっ。
目の前。
至近距離に、少年の顔っっ
「真白ってさ、けっこう面白いよね」
「な、な、なんでっ!!」
「ここ?保健室」
「ほけん……っ」
「そう、教室でぶっ倒れて後頭部打ったんだよ。痛くない?」
「後頭部?」
手探りで頭の後ろを撫でていると。
真ん中くらいにあった、でっかいこぶ。
「全く、大事にしないとまた死んじゃうよー?」
「………っ」
ぷかぷかと浮遊しながら顔をさらに近づけてくる少年。
どーでもいいけど。
距離感近すぎっ!!
「あー!!」
思い出した!!
勢いのままに、飛び起きた。
「び……っくりしたなぁ。今のできっと僕、心臓発作起こす自信あるよ」
………地縛霊から、心臓発作なんて言葉が出ますか。
「ん?」
「なんでもない」
それよりそれより!!
さっきのあれ!!
「キョロキョロしてもさっきの幽霊ならいないよ」
「幽霊っ!?」
なの!?
やっぱり!
「あれは教室にすみついてる霊の一種だから。教室にしかいられないんだ」
「………そうなの!?」
「そう。普通は依り代から出られない」
「………あんたは、あの交差点から離れて平気なの?」
「僕は真白と繋がってるから。真白のいるところなら移動できるんだ」
「…………そう」
よく、わかんないけど。
あんまつっこまないようにしよう。
あっちの世界のことなんてきっと知らない方がいいに決まってる。