第2章 世間はそれを、脅迫、と呼びます。
「ねぇ」
「ん?」
「なんでいるの、僕」
「………子供扱いは、好きじゃないなぁ真白ちゃん」
「子供じゃん」
「年齢で言えば、僕のが歳上だからね!!」
あー、はいはい。
後ろからポカスカポカスカ人の頭叩かないでくれるかな。
髪、崩れるんだってば。
「あーあ、ため息ついた。幸せひとつ逃げちゃったー」
人を指差して笑いこけるやつの、どこが子供じゃないって?
「高校って、こんな感じなんだねー」
ぷかぷかと浮遊しながら、周りを見渡す幽霊様は。
現在授業妨害真っ最中。
隣でわーわーぎゃーぎゃーうるさいったら。
全然授業が耳に入って来やしない。
あっちいってきゃっきゃ、こっち行ってきゃっきゃ。
全く、誰が子供じゃないって?
どうやら。
あの幽霊……。
いや、悪霊のたぐい?
地縛霊とか、言ってたし。
みんなには見えてないみたいで。
あたしだけに見えるってのも、なにかと面倒なのよね。
はーぁ。
「どーも」
「あーはい、どーも」
だいたい、悪霊ってのはこんな感じの。
頭にナイフ刺さってたりさ。
血がどばーっ、て……。
「…………」
血?
ナイフ?
「・・・・・」
「うらめしや〰️」
「………ひっ……!!」
嘘。
嘘。
嘘━━━━━━━━━━━っっっ!!
「ぎゃああああっっ」
出た出た出た。
なんか出た━━━━━っ!!
「神谷!?」
「神谷さん大丈夫!?」
「きゃぁ真白どーしたのっ」
先生と同級生たちがびっくりして大騒ぎする中、あたしはそのままぐらりと、床へと倒れこんだ。