第7章 目覚めよ、汝
話がオカルトなのかなんなのか、微妙。
幽霊だとか地縛霊だとか。
悪魔だとか。
話が別次元すぎてついていけない。
「真白に触れただけですごい成長するし、実体になれるし。やっぱ別次元の交わりってすっげー!!とか思った」
「………」
交わり、とか。
生々しいからやめて下さい、ほんと。
「だけどさ、真白を好きになっちゃった」
「!!」
「真白も好きって言ってくれた。……ねぇルシエルさま、ふたりとも生きるには、どーすればいいですか」
「…………」
真剣に、蓮が向き合うから。
思わず一緒になって見上げた悪魔さまの、顔。
は。
少し困ったように。
歪められていた。
「………俺にはもう、なんの力もない」
「…………わかってます」
「すまない」
「なんか解決策、あるかなって思って」
「お前の命はすでに戻ってる。戻れない理由があるんじゃないのか?」
「え」
「戻りたくない理由。無意識領域にあるそれよりも強く、戻りたい理由があれば戻れるんじゃ、ないのか?」
「戻りたい、理由?」
「あ………」
目が、合う。
揺れる。
そっか。
蓮は戻れるんだ。
蓮が戻るならあたしは、戻れない。
いいじゃん。
そのつもりだったし。
蓮が戻るなら、一番いいこと、なのに。
「…………命ならここに、いる」
「ぇ」
悪魔さまの、視線の先。
あたしの、おなか!?
「えぇ!?」
「妊娠?真白、妊娠したの?」
「してない!だってまだ………。あ、れ?そろそろ、1ヶ月たった?」
「力はないが、そのくらい感じる、わかる。命ならもう、『ある』」
「真白!!」
待って。
妊娠?
あたしが?
この命使って、生き返れる?
「………」
待って。
なら、この子は?
この子は、どーなるの?
「代償、だ。諦めろ」
「…………っ」
蓮、と、あたしの子供。
諦めるの?
「真白が死んだらその子も死んじゃうんだよ?」