第1章 最初の1歩を踏み出して
「間宮恭です。えっと…転校してきたばかりなので分からないことは教えてくれると嬉しいです」
よろしくお願いします、と彼は丁寧に頭を下げる。
転校生、か……綺麗な顔立ちをしているから、あの子はすぐに友達が出来ちゃうなタイプだ、きっと。わたしとは違う。
「…美園さん、だっけ」
「え」
わたしの隣を通りかかったらしい転校生、間宮くんに突然話しかけられびっくりしてしまう。
「よろしくね」
「う、うん、よろしくお願いします…」
他の人に対しては何もないのに、何故かわたしにだけ話しかけてきた彼は、窓際の一番後ろの席に座った。